ちょっと手短に。職場の同僚が自宅で使っているパソコンの調子が悪いそうだ。HDDからと思われる異音で、一応起動はするが、途中で止まる。調子が悪いことが気になって、貴重な画像データなどのバックアップを取ろうとすると、途中で止まってしまうとのことである。これは大変だ。例のあれだ。一刻も早く、貴重なデータを他に移さなくてはならない。しかしながら、そのHDDは起動ドライブなので、あれこれやる前に、まずは内臓ドライブを外に出してしまった方が良さそうだ。私は20インチのiMacのドライブ交換をやったことがある。その時点で、同僚は自分のiMacが17インチなのか、20インチなのか分からないという。まぁ、兎に角、新しいSATA3.5インチのHDDを手に入れて、職場にiMac共々持ってくることになった。それまで、もうiMacは起動させない方が良いとアドバイスした。
20インチiMacの分解の経験は貴重である。但し、17インチモデルと20インチモデルは内部構造がかなり異なっているらしい。私はMacFan誌で17インチの分解記事を参考にして20インチを分解しようとして苦労した。その時の経験と、使った工具等はある。トルクスドライバのT-8, T-10が必要である。MacFan誌も持っているから、こんどはその記事通りに作業を行えばよい筈だ。
同僚が職場にiMacを持って来た。見ると17インチモデルである。CoreDuoだから、我が家のiMacと同じ世代でモニタサイズが違うだけだ。MacFan誌の記事を見ながら作業を進める。最初の難関はケースを開けるところ。背面のスリットから薄いプラスチックカードを差し込む。金具を押し上げるとラッチが外れる。
わりと簡単にケースを開けることができた。次の難関は内部を覆う黒いフィルムとアルミニウムテープを剥がす作業だが、実はこのiMacは液晶パネルの交換で一度分解修理したことがあるとのこと。プロが丁寧にフィルムを剥がした跡があり、大変作業しやすかった。液晶パネルを外し、以下はMacFan誌の解説通りに作業を進める。コネクタの取り外しが少々勇気が必要だ。
毎日コミュニケーションズのMacFanの記事通りに進めると、ありとあらゆるものを外し、最終的にはロジックボードも外してようやく内臓HDDを外すことが出来るようなことが書いてあるが、これはウソだ。多少分解になれているとはいえ、プロでない人がiMacのロジックボードを外すのは相当リスクが高い作業である。画像はケースを開けて液晶パネルを外したiMacを上から見た図である。オレンジ点線で囲んだ部分がHDD、それに一部被さるようにロジックボードが付いている。(画像ではHDDの上)HDDは手前側と奥側各2カ所(合計4カ所)でフレームに固定されている。そのうち手前側のネジはトルクスドライバが届くので簡単に外せる。問題はロジックボードの影になっている部分である。
実際にはゴムのブッシュにHDDにねじ込んであるピンが刺さっているだけなので、手前側のネジを外すだけでよい。つまり、ロジックボードを外す必要は無い。手前側に見えるネジをトルクスドライバで外し、そのままHDDを引っ張り出すだけである。温度センサーがHDDに貼り付けてあるが、それは少々暴力的に引き剥がす。
私はロジックボードを固定している幾つかのネジを外してみた。ボードは動いたが、さらに幾つかのケーブルがつながっていて、そう簡単には外せない。これ以上深入りすると元に戻せなくなるかも知れないと感じ、どうしようかと思っているところで、そのままでHDDを引き出せることに気がついた。
結論だが、CoreDuoのiMac(最も初期のIntel CPU搭載)17インチのHDD交換はMacFan誌2006年5月号の52-53ページに、「インテルMacをさらにパワーアップ」という特集記事に書いてあるよりかなり簡単である。あの記事には何らかの事実誤認があると考える。ロジックボードを外す必要はありません。つか、あれを外すのは難易度高すぎ素人には無理と思う。
無事に交換を終え、復旧させたiMacにはOSX10.5をインストールし、タイムマシンでバックアップが出来ることになった。取り出したHDDはドライブケースに入れてファイルを読み出そうとしたが、残念ながらアクセス出来なかった。 データ復旧のプロにお願いするしかないようだ。