トラックボールを新調した。

前々から不調を感じていたTurboBallをいよいよ諦めることにした。前回も触れたが、使用中にしばしばDisconnectする。その理由が良く分からない。TurboBall本体を揺すったり叩いたりするとつながることがある。USBソケットを抜き差しして直ることもある。最も有効と思われる対処法は、セルフパワーのUSBハブの電源を引っこ抜く。すると、「このUSB機器は電力不足で使えない」云々のアラートが出る。電源を挿し直すと大抵使えるようになっている。まぁ、とにかく調子が悪い。その度に作業に水を差される。ときに意図しない動作となることもある。

トラックボール
Slimblade Trackball

私は作業効率のために入力機器を選び、コストを掛けていた。今月は少し小遣いに余裕がある。先日キーボードを新しくしたばかり。もうこれ以上我慢する理由は見あたらない。新調することにした。覚悟は決まったから、ヨドバシの店頭に見に行った。トラックボールはケンジントン製以外にも数社から出ている。私が初めて使ったトラックボールはロジクール製の親指でボールを廻し、人差し指でボタンをクリックするタイプだった。数年前から、私はトラックボール(マウス)を左手で操作するようになったため、右利き専用の凝った形のトラックボールやマウスは却下だ。左右対称の設計になっているもの多くない。その中ではやはりケンジントンが良いと感じた。装置そのものが手に馴染んでいる。私がケンジントン製のトラックボールを使っている理由は、大型ボールをステンレスローラーで転がす心地よさと、MouseWorksソフトエアの使い良さからだ。新製品のSlimBlade Trackballに触ってみたかったのだが、残念ながら箱の中で触れなかった。

余り選択の余地がないことが分かり、ケンジントン製から選ぶことにした。新しいSlimBladeに興味がある。数年ぶりに登場した新作だ。しかし、こいつは値段が高い。一万五千円近いプライスタグが付いている。幾ら何でも、たかがマウスに一万五千円は出せない。それでは幾らなら出せるのか、悩ましいところだ。ExpertMouse Opticalなら12,500円である。一万五千円より少し安い。そしてSlimBladeは残念ながらMouseWorks ソフトウエアを使えないらしい。ヨドバシを眺めた後、日本橋に出向いてソフマップとツクモ電気を見たが、どちらもほぼ定価販売。がっかりしてその日は結局買わず。たかがマウス(といってもトラックボール)に一万五千円は出さない、と決心し、帰宅後ちょっとウエブを眺めていたら、Apple専門店のKitcutの通販で12,780円。この店は何度か使ったことがある。ほぼ即決し、発注したところ、数日後に届いた。

とりあえず、自宅で使っていたExpertMouse Opticalと並べてみた。この角度では分かりにくいが、本体部分は相当薄くなっている。ボールのサイズは全く同じで、取り替えて使うことが出来る。ボールの周りのメッキのリングのように見える部分は飾りである。ボールを中心に上下左右の4ボタン。ボールを外すと3つの支点でボールを支え、2つのレーザー式のセンサがついているのが分かる。今までまるで区別が付いていなかったのだが、従来のExpertMouse Opticalは光学式で、これは赤いLEDが眩しいほどだ。SlimBladeの方はレーザー式で、一見して光が出ているのに気付かない。USBケーブルの被覆材がプラスチックでなく、組紐のような線維を編んだもの。しなやかでとても使いやすい。ボタンのタッチはマァマァだ。一見すると全面をボタンとして使えそうだが、実際に心地よく押せる範囲は限られる。リングの周辺がちょうど押しやすいように出来ている。ボールの動きは実にスムース。接点があることを忘れるくらい。ExpertMouse Opticalと同じく三点で支えるタイプだが、この動きのスムースさは大変価値がある。とりあえず、ボールの動きに関しては,絶賛しておく。恐らく、ステンレスローラーのExpertMouseよりもこっちの方が上等だ。メンテナンス性に関しては、もう少し使ってみないと分からない。

左指のかかり方

さて、この素晴らしいトラックボールに難点がある。それはMouseWorksソフトウエアが使えないことだ。少なくとも、今までそれで使い慣れてきた私には、全く不満となる点。一応、ドライバをインストールすると、ビューモード、メディアモード、ナビゲーションモードが使い分けられるというのだが、これらの機能は私には余り魅力がない。肝心のナビゲーションモードでは4ボタンのうち奥の2つが無効になり,手前側のボタン2つとボールのひねりによる上下スクロールのみ。さらに、この機能を使うためにはマウスワークスのアンインストールが必要とのこと。職場ではExpertMouseを使うからMouseWorksは必須である。どうしてケンジントンがMouseWorksを引っ込めようとしているのか良く分からない。むしろ大変困惑している。MouseWorksはトラックボールのそれぞれのボタンに任意の役割を設定させることが出来る。しかも、それらを利用するソフトウエアごとに設定できる。各々のボタンに任意の機能を設定できるから、左利きでも右利きの場合と全く同じ操作性を得られるように設定可能である。

MouseWorksを使わないSlimBladeの場合は、OSXのシステム環境設定の「キーボードとマウス」から「マウス」の設定で、主ボタンを右に設定することが出来る。(左ボタンはコンテクストメニューが出る)ボールの捻りでスクロールさせる仕組みは、時計方向に捻るとスクロールダウン逆時計方向でスクロールアップだが、これはどう足掻いても設定を変えられない。つまり、SlimBladeではスクロールが左利き用の設定に直すことが出来ない。加えて、捻っている間ボールはスクロールホイール代わりなのだから、カーソルの移動を止めればよいと思うが、勝手にカーソルが動き回る。

長年ケンジントンの様々なトラックボールを使い続けてきた私が、SlimBlade Trackballをちょっとだけ使った感想をまとめると、ボールの動きは素晴らしくスムース。しかし、MouseWorksが使えないのは大きなマイナスポイント。初めてケンジントンを使う人には気にならないかも知れないが、今までMouseWorksを便利に使っていた人は大いに不満を感じると思う。私は大変不満だ。何かその代わりになるようなユーティリティを手に入れたいと思っている。というか、ケンジントントラックボールの魅力の半分はMouseWorksユーティリティが使えることだったのだ。

道具としての良さは認めるものの、使い勝手の悪さにかなりがっかりした話。それから、一万5千円近い値段は高すぎる。半分くらいで何とかならない物か。というか、実にスムースなボールの動きを体験すると、ExpertMouse Opticalが大変雑な道具に思えて、そっちの値段の高さが気になる。使い慣れると見解が変わるかも知れないけれども。

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http://www.oyakonews.com/oyanews/homep/HP2009/HP090628.html