マニアのキーボード選び(2006-10-22)

今回はとりあえず、iMacのオマケに付いてきたアップル製キーボードがひとつ余っているので、そいつを引っ張り出してiMacの前に置いたのだが、どうにも良くない。キータッチがグニャグニャだ。この嫌な気分は作業の効率、ひいては、最も重要な「何となく、やる気」に大きく関わることを、今までも感じていたから、新しく手に入れることにした。

条件は、アスキー配列、USB接続、そこそこのキータッチ、ということになる。

少々お高いが、HappyHackingKeyboard Professionalが気になる。Lite2を使っているが、そこそこ気に入っている(購入のいきさつ、使用の感想1感想2)。Professionalモデルはそれよりも更にキータッチがよいらしい。ところが、こいつには矢印キーがない。私は結構矢印キーを使うが、無しでどうするのか想像が付かない。矢印キー付きのテンキーパッドがあるのだろうか。それに、やはり高すぎる。

いま、妻と子どもたちが使っているCrystal Pro-Xも十分に選択肢に入る。キータッチは大変よい。 値段が高いこと、手に入りにくいこと、汚れが大変目立つことが難点だ。

私がClassic IIを使い始めた頃、マックのキーボードはかな文字がプリントされたアスキー配列が標準だった。それを持って米国に渡り、そこでQuadraを買ったときに付いてきたキーボードは当然アスキー配列(かな文字なし)だった。帰国後PowerMac7300を買ったときにキーボードが付属していたかどうか覚えていないが、既に持っていたアスキー配列を使い続けた。その後、PowerMacG4-400を購入したときにインターフェイスがADBからUSBに変わって、今まで使っていたキーボードが使えなくなり、やむを得ずApple純正のJISキーボードと悪夢のような饅頭マウスをしばらく使ったが、結局我慢できずに、USBのアスキー配列キーボードを別途購入し、それ以後JIS配列とアップル純正のキーボードに背を向けた。こうして振り返ってみると、私に入力機器を選ぶことの重要性を教えてくれたのは、どうやら悪夢のUSB接続アップル製JISキーボードと饅頭マウスらしい。反面教師というわけであるが、どちらも残念ながら今は手許にない。捨ててしまったらしい。

このようないきさつで、私はキーボードとマウス(トラックボール)のような入力機器は気に入った物を選んで使うことが当然で重要なことと思っている。しかし、今やJIS配列全盛でアスキー配列は「英語用」とか言われて、よほどのマニアか変態か、英語オタクのような詰まるところ普通でない人が使うような印象になっているに違いなく、ましてや、マック用などというとほとんど化石同然で、いよいよ入手困難になっていることを危惧する。(同じことは私が愛用しているトラックボールにも云える)

店頭ではまず見かけないUSB接続のアスキー配列キーボード。ヨドバシには「英語キーボード」という分類に7件お取り扱い中になっている。本当はもっと取り扱っているようだが、検索でうまく出てこない。アマゾンで探すといくつか見つかる。上記HHKBとCrystal Pro-Xに加えて、

SKB-M109UH(サンワサプライ製)
マック対応を明記している。高品質クリックタッチのメカニカルキースイッチ。
Realforce101(PS/2)ML0100(東プレ製)
静電容量無接点方式キーボードによる入力時の静かさや抜群のキータッチ。PS/2からUSBへの変換アダプタ付属。
Majestouch「マジェスタッチ」英語キーボード(ダイヤテック製)
FILCOブランド。USBからPS/2に変換アダプタ付属。ドイツCherry社のMX tactile feelキースイッチ。高剛性なケースレイアウト。

案外あるものだ。PFUに加えて、東プレ、ダイヤテックは入力機器を重視する人を対象に、いくつかの選択肢を用意している。頼りになるメーカーという印象をもった。今回はアマゾンの通販で値段(およそ8600円)も考慮した上で、ダイヤテックのマジェスタッチ(FKB104M/EW)を購入した。アスキー配列、USB接続だが、ウインドウズ用である。東プレも魅力的だったのだが、18000円以上という価格の問題と、PS/2から変換という点が不安だった。

ウインドウズ用キーボードをマックで使う

三日ほどで届いたキーボード(DIATEC FILCO Majestouch FKB104M/EW)を使い始めた。キー配置はテンキーをのぞいてマックの純正と同じである。

Majestouchキーボード

コマンドキーのトップにウインドウズのマークが付いている。ウインドウズ用のキーボードを使うのは初めてである。

接続すると、自動的にキーボード設定アシスタントが起動する。まず左のシフトキーの横にあるキーを押し、それから右のシフトキーの横のキーを押す。キーボードが識別される。しかし、これで設定が終了、というわけにはいかない。

そのまま使うと、コマンドとオプションの位置関係が逆になる。つまり、本来コマンドの位置に「Alt」キーがあり、オプションの位置に「ウインドウズマークキー」がある。そのままではAltがオプションで、ウインドウズがコマンドとなるので入れ替える必要がある。

修飾キー設定画面

「システム環境設定>マウスとキーボード>キーボード」を開くと、「修飾キー…」と「キーボードの種類を変更…」という二つのボタンがある。「種類を変更…」の方は、はじめに起動した「キーボード設定アシスタント」のことである。修飾キーを開いて、CapsLock、Control、Option、コマンドのそれぞれを設定する。Optionにコマンド、コマンドにOptionを割り振ると、スペースキーの両脇(キートップにはAltの表示)がコマンド、その隣(ウインドウズマーク)がオプションとなる。そういえばHHKB Lite2ではこの設定をディップスイッチで行っていた。

というわけで、それ以前のバージョンは確認できないが、OSX10.4ではアスキー配列のウインドウズ用キーボードを問題なく使える。

使用感であるが、Majestouchキーボードのキータッチは絶妙だ。すばらしい。USBのハブを装備していないのが残念な点。しかし、アップルはくだらない純正キーボードをユーザーに押しつけることを止めて、アップルストアのキーボードの選択リストにこれらの使いやすいキーボードを加えるべきだ。

ウインドウズ用のキーボードを初めて使ったのだが、テンキーの違いに戸惑っている。右端の一列は下から「Enter」「+」「-」である。0とEnter、+がキー二つ分の大きなサイズで合計17キー。イコール(=)キーがない。私は、プラスキーよりマイナスキーの方を頻繁に使うと思う。イコールキーも結構使う。本来、マイナスキーがあるはずの場所がプラスキーで、アスタリスクの場所にマイナスキー。これは当分戸惑いそうである。

メーカーウエブサイトの紹介文を読むと「アスキー配列はスペースキーが大きく使いやすい」という話になっているのだが、果たしてそうだろうか。JISキーボードに付いている「変換」「無変換」「かな」というようなキーを私はどうやって使ったらよいのか分からない。私のキーボードにはそのようなキーが無いが、問題なく日本語を入力している。アスキー配列のPowerBookを使っているが、大きなスペースキーの両脇にコマンドキーがあって、ショートカットを使うのに便利だ。同僚の日本語JISキーボードのパワーブックはコマンドキーが左側に一つだけだったと思う。

ふと気がついたのだが、Caps LockとControlも上記メニューで入れ替え可能なのだ。HappyHackingKeyboardはUnix配列というやつらしく、CapsLockとControlの配置が逆で、少々難儀していたのだ。早速入れ替えることにする。

入れ替えようと思ったのだが、HHKB Lite2は本来のコントロールの位置(左下隅)がファンクション(Fn) キーとなっている。入れ替えようにも入れ替える相手が居ない。入れ替えると、パワーブックのキーボードの方も入れ替わる。HHKB Lite2ではFn + TabがCapsLockに設定してあるので、コントロールを呼び出すのにいちいちファンクションキーを押す必要がある。というわけで、変更せずにそのまま使うことにした。

因みに、HHKBにはマックキットというものがあるが、日本語配列のHHKB Lite2のキートップの表示を修正するために交換用キートップと交換工具のセットに加え、CD-ROMイジェクト、マルチメディアキー、電源キーを任意のキーに割当するためのドライバがセットになっている。

なんだか奥が深いHHKB。ウエブページも大変マニアックだ。