このページのもくじ

  1. 外人さん相手の互換性
  2. 気がつけばがんじがらめ
  3. 役に立たないサイト
  4. 漏れ放題の個人情報

会議続きで仕事している暇がない。

外人さん相手の互換性

奈良の出張は、国際会議の参加を兼ねたお手伝い。参加者が400名ほど、半分が海外で、およそ30カ国から集まる。ポスターや口演で各自の主張を発表する。公用言語は英語である。こういった会議で発表するときは、締め切りまでに発表の要旨を書式に則って主催者に申し込み、後は参加費用の振り込みなど、事務的な手続きを行う。今回は、会議のウエブサイトが作られており、ウエブページ上の申し込みフォームを利用する。講演の要旨は要旨集にまとめられ、当日受付で参加登録と引き替えに渡される。

発表の方法も、同じウエブページ上で公開されていたはず。私自身は発表をしなかったので、詳しいことは知らない。ポスター発表は、掲示する時間と、掲示板のサイズと利用方法。即ち、上に演題と発表者名を入れて、後は自由にどうぞ。口演の方は、パソコン利用。しかも、原則PowerPoint限定で、OSもWindows98以上、もしくはマックとなっていたはずである。CD-ROMかUSBのメモリでパワーポイントデータを持参し、受付で係員に渡し、用意されているパソコンでチェックし、LANでつながっているハードディスクドライブにコピーする。

発表時は受付にあるものと同等の裏方パソコンでファイルを開き、プロジェクターで映写する。演台には液晶モニタとキーボード、マウス、レーザーポインタが用意される。

私は初日のスライド受付を担当した。受付にはIBMのThinkPadが二台、PowerBookG4が一台用意された。OSはXPとOSX10.3である。大変緊張する作業だった。間違いがあったら厄介である。今まで参加した会議は自分のパソコン持参だった。途中で止まったり、表示がずれたり文字が化けたりしても、各人の責任となる。今回一番神経を使ったのが、ファイルが行方不明にならないこと。ファイル名を演題番号と後援者名を組み合わせたものに変えて、適切なフォルダにコピーする。それからパワーポイントで開き、表示を確認してもらう。

会議中は大きなトラブルはなかったのだが、受付でファイルを修正しようとする人がいる。アニメーションをどうこうしたい、と、英語でコミュニケーション。ところが、用意したパソコンはOSが日本語版でメニューも日本語である。日本語メニューは海外の人には文字化けしているのと同じこと。向こうの意図を正確に理解して、操作法が分かれば良いのだが、何をしたいのか分からない上に、係員がパワーポイントの細かな操作法を心得ていない場合手に負えないことになる。互換性を考えると、英語モードに切り替え出来るようにして欲しい、と、マジに思った。これはThinkPadのはなしで、私はWindowsの経験がないから、そっちの方には手を出さなかったのだが。

因みに、マックはMacで通じるが、ウインドウズはWindowsでは通じない。PCである。海外の参加者のほとんどが、PC利用。マックを使うほとんどが日本人参加者と、強いて挙げるとドイツ人だった。日本人の半数程度は未だにClassicOSを使っている。主催者が用意した最新のPowerBookにクラシックバージョンのPowerPointがインストールされていない。PowerPoint ver.Xの上位互換性はそこそこのレベルと思うが、Classic verのPowerPointの下位互換性は部分的に問題がある。今回も図表の一部が表示されないものが出てきた。解決できず、結局自分のパソコンを持ち込んでもらうことになった。他にも、動画を使う人など、結局数名がパソコンを持ち込みとなった。Keynoteなど、他のソフトを使いたい人も、自前パソコン持ち込みとなる。

ついでに云うと、Wordも英語モード切り替えを用意して欲しい。海外出版社の投稿規定は大抵、Double-spaceの行間を指定している。海外とファイルをやりとりするときのストレスは相当なものである。元々が英語なんだから、簡単に出来そうに思うが。

気がつけばがんじがらめ

二日目以降は講演会場の裏方となって、色々なパワーポイントプレゼンテーションを眺めていた。文章が長いのはダメだなぁ、と思う。口演の保険みたいなもので、私の先輩は、スライドに書いてあることをそのまま読めばいい、というのだ。しかし、客席に座る立場からすると、3行を越えると読むのが面倒になる。つまり、聴衆にとって長すぎるセンテンスは無意味なのだ。そういう意味で、動的なスライド構成でアニメーションを使って小出しにするのは意味がある。小出しにすることを考えると、単純なセンテンスとするよりも、要約して箇条書きにするべきだと思う。また、アニメーションは、聴衆の視線の動きを十分に意識し、注意が散漫にならないように、その時点で不要なものを隠す、というネガティブセレクションの発想が正解と思う。

そして、気がつけばパワーポイントにがんじがらめなのだ。つまり、パワーポイントで表現出来るかどうか、あるいは、そのスキルを持っているかどうか、が、プレゼンテーションの構成を決めて、結果的に口演の内容まで縛ってしまう。パワーポイントのプレゼンテーションは、一端進めると逆戻りし難く、脇道に逸れるのが苦手である。往ったきりの一方通行になりがちで、データの有機的な繋がりを示しにくい。

有機的な繋がりを積極的に示したり、脇道に逸れることを考えると、ハイパーリンクによるHTMLをプレゼンテーションに用いることが魅力的に思える。加えて、スタイルシートとブラウザの表現力は、テキスト表示に関してパワーポイントに遜色が無いように思う。プレゼンテーションツールにハイパーリンクの発想を取り入れることはさほど難しいことと思わない。よく見ればPowerPointはオブジェクトに動作設定ボタンのユーザ設定でクリックでハイパーリンクを設定できるのだ。(先ほど気がついた。)

プレゼンテーション資料の内容を突き詰めれば、まずストーリーがあり、それを具現化してみせるための文書構造化がある。その構造が一目瞭然となる資料は、見る側と喋る側双方に有意義と思う。パワーポイント、およびその擬きとしてのKeynoteで、構造化を担う部分はアウトライン表示である。アウトライン表示にもう少し機能を付加して、アウトラインの構造をファイル作成者に明示的に認識させることはプレゼンツールを使いやすくする上で大変有意義と思う。

プレゼン資料は、まず念入りにアウトラインを作るところから始めなくてはならないと思うが、今回私が見たスライド資料の多くはアウトライン部分が空っぽであった。

役に立たないサイト

来月も出張が予定されている。山形に用事があるのだ。なかなかタイトなスケジュールを縫わねばならない。今回は私一人で出かけるので、旅館や交通の予約を人に頼るわけにはいかない。夜に会議が終わるのだが、翌朝に仕事が待っているため、とんぼ返りを計画。飛行機は間に合いそうにないので、JR夜行列車を調べようと思った。JRが各社に分かれたせいで、こういった長距離列車の検索は面倒である。先日登録したJR西日本では夜行列車が出てこない。東北方面は、多分、JR東日本だろう(JR東北というのは聞いたことがない)。

取り敢えず、可能性があるかどうか、夜行列車の時刻を調ようと思い、JR東日本のウエブサイトを見た。私には全く無意味なプレスリリースが幅をきかせている。列車の時刻をしらべるのは、、、駅の時刻表というリンクがあった。駅名から検索すると、その駅の時刻表を表示する。「山形駅」で検索するが出てこない。「山形」で出た。融通が利かない。出てくる情報は、駅の待合いに掲示してあるような表である。これではちょっと埒があかない。私が求めるページは、えきねっとというページの「時刻、乗り換え案内」であるらしい。進もうとしたが、この検索をするには会員登録が必要である。航空各社は会員登録などしなくても予約出来るはずだが、、、

酷く分かりにくいウエブページである。会員登録のリンクに気がつくのにしばらくかかった。フォントが小さいのも何とかして欲しい。

会員登録画面は分かりやすいが、とにかくたくさんの項目を埋めなくてはならない。

必須項目
  1. 氏名(漢字)
  2. 氏名(カナ)
  3. 氏名(半角ローマ字)
  4. 生年月日
  5. 性別
  6. 郵便番号
  7. 都道府県
  8. 市区郡
  9. 町村
  10. 番地(全角)
  11. メールアドレス
  12. パスワード(半角6-8桁)
  13. クレジットカード種別
  14. クレジットカード番号
  15. クレジットカード有効期限
  16. 駅ネットからのお知らせを希望するかどうか
非必須項目
  1. FAX番号
  2. 携帯電話番号
  3. 会社名
  4. 部署
  5. 勤務先郵便番号
  6. 都道府県
  7. 市区郡
  8. 番地
  9. 勤務先電話番号
  10. 勤務先FAX番号

乗り継ぎの検索をするだけで、26項目を用意するというのはどうかと思う。そして、おきまりの注意書き。但し、この注意書きを見るまでに、合意する、をクリックしている。

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ブラウザはMicrosoft Internet Explorer4.5以降、もしくはNetscape Navigator 4.73をお勧めさせていただいております。これ以外のバージョンおよびMacintoshをご利用の場合、不具合が発生する場合があります。予めご了承ください。

IE4.5以上って云うのは分からないでもないが、ネットスケープは、4.73を指定だ。これ以外のバージョンは不具合というのだから、これはお勧めするというレベルではないだろう。そして、マックはお断りと来た。予めご了承下さい、って、出来ません。というか、無責任だ。不具合の具体的内容は何なのだ?レベルが低すぎる。

漏れ放題の個人情報

マックお断り、ネスケは4.73のみ、と、平然と言い放つサイトで、情報の管理が果たして適正に行われているのか、はなはだ怪しい。信用しろといっても無理な話である。というか、これだけ余計な情報を書かせようとすること自体に、何か別の意図を訝ってしまう。

だいたい、たかが路線の検索のために、どうしてクレジットカードの情報まで書かせようとするのか分からない。ただ見るだけで、会員登録させること自体が意味不明だ。漏れたところで、どうということがない情報と、漏れると拙い情報があるだろう。クレジットカードの情報などは、安易に人に教えるべきではないし、人から聞き出すべきでもない。生年月日も必須項目であるが、これを色々なパスワードに使っている人もいるだろう。こういった情報が漏れることで深刻な結果をもたらすことがあるかもしれない。非必須として並べている項目も、要らないならわざわざ書かせる必要はない。この中で、本当に必要な情報がどれほどあるのか。

私は個人情報は漏れるものだと思っている。相変わらず、個人情報漏洩が報じられている。云われなくても分かっている。我が家にやってくるジャンクメールや、通信教育のダイレクトメール、家庭教師のお誘いの電話、不動産や先物取引の勧誘電話、いったい何の名簿を見ているのか。何処かから漏れている。だからといって、とりあえずどうということはない。ジャンクメールは削除するのみ。ダイレクトメールはそのままゴミ箱行き、電話勧誘は一切応じない。それで取り敢えず、鬱陶しいと思う以外の被害はないつもりである。今のところはそういった応対でよいが、このケースでは漏れたらシャレにならない情報が含まれる。漏らした企業はイメージダウン。さらに、顧客に多大な迷惑をかける。可能な限り、個人情報を集めずにサービスを提供するというのがお互いにとって幸せというものだと思う。これに不信感を抱かずに会員登録する人は、ちょっと危ないのではないか。私は完全に登録する気が失せた。

こういった目的にちょうど良いサイトを見つけた。駅から時刻表。この前、JR西日本に登録した私なのだが、同じようなフォームに記入した気がする。あのときは期日が迫って焦っていたのだ。おかしいと思いつつ、個人情報を受け渡した。騙されるときと云うのはそういうものかもしれない。