以前から、職場でデジカメを購入する計画があった。デジカメの需要があり、何か行事があるごとに記念写真を撮るようなことに加えて、実際の仕事の上でも、十分に活用できる。仕事の結果を画像に残す、という作業は日常的にやっている。今までは、ポラロイド写真を使うケースが多かった。デジカメ購入の話が持ち上がって以来、なかなか話がまとまらず、購入に踏み切らなかったのは、デジカメがそのものが日進月歩であることに加え、価格上もピンキリで、「簡単なやつでいいやンか」、という主張を説得するのが面倒だったから。
今回、私が自由に使ってよい予算が当たったので、デジカメ購入に踏み切った。主な目的「仕事の結果を画像に残す」ということを考えると、接写台にカメラを固定し、マクロ用のレンズで正確にピントを合わせることが出来るカメラということになる。およそ25万円ほどを使い、一眼レフデジカメ、KonicaMinolta製α-7 DIGTALの購入に踏み切った。以前の職場では、接写用にニコン製の一眼レフ一式があり、私は必要なデータを自分で撮影し、現像はプロに任せていた。仕事に使うなら、相応の道具が必要という判断をした。本体に加え、縦位置グリップ、100ミリマクロレンズなどを購入した。
先日、カメラ一式が届き、慣熟のため週末家に持って帰り、少々使ってみた。ほとんどマニュアルを見ていない。意味不明のボタンもいくつかあるが、とりあえず撮影するだけならば、さほど困ることはない。痛く感動した。我が家には、共にミノルタ製の一眼レフ(α707Si)とデジカメ(F-100)がある。操作系は慣れているし、私には使いやすい。妻に言わせると、F-100は「お馬鹿な道具」とのこと。要するに、シャッターボタンを押してから、シャッターが落ちるまでに随分と時間が掛かることを言っているのだ。400万画素の画像は、驚くほどきれいであるが、シャッターチャンスを捉える、という、カメラ本来の機能については、絶望的なのだ。例えば、走ってくる電車の写真を撮るような場合は、慣れで何とかなる。タイミングを見計らって、早めにシャッターを切れば、何度か失敗した後に、そこそこフレームに収めることが出来るようになる。しかし、子どもたちの表情をクリップするには、余程の幸運が必要だ。シャッターが切れた頃には、子どもたちは後ろを向いている。
α7-Dは、こういった要求を完璧にこなす。ファインダをのぞき込み、おおっ!と思った瞬間に、シャッターを押せば、その通りに画像が残る。タイムラグはまるで気にならない。α707Siと比べても、オートフォーカスの作動速度がかなり速いため、α-7Dの方がよりクイックな印象を受けた。F-100購入から三年余り経過している。その間のデジカメの進歩か、それとも、値段の差なのかは定かではない。とにかく、シャッターのタイムラグに関しては、全く不満は感じなかった。むしろ、707Siに比べて小さなミラーと、メカニカルなシャッターが無い分、シャッターが切れる時の音やら振動の安っぽさが気になった。家族で渓流の川遊びに出かけ、その時に持参したのだが、恐らく、来月の表紙写真に、その時の作品を使うことになると思う。最新の一眼レフデジカメ、恐るべし。
一応、作例を提示しておく。50ミリマクロF2.8を使って、手持ちでF-100をクローズアップ撮影したもの。
そういえば、「手ぶれ防止機構」が売りらしいのだが、こういった撮影には、多分有効なはず。ただ、自然の中に入ると、被写体の方が揺れる。それに対しては効果がないと思う。余り意識しなかったので、よく分からないというのが本当のところ。
職場で共同利用するのに、いくらか決めごとが必要だ。職場には暗室があり、その中に接写用スタンドがある。カメラをスタンドに固定する。簡単な操作を主張していた人にも、とりあえず、撮影するだけならスイッチを入れ、スタンドの高さを調節し、シャッターを押すだけ。まぁまぁ簡単。少ない操作で十分なクオリティの画像を残すと云う目的に十分である。
但し、データの管理が共同利用の鍵となる。よく考えなくてはならない。撮影した画像のファイルは、カメラ内のメモリに残る。例えば、LANでカメラを共有できると楽でよい。暗室で撮影し、デスクに戻り、自分のパソコンにネットワークから取り込むことが出来る。しかし、α-7dはEtherケーブルを繋ぐように出来ていない。そういった共同利用のための配慮がない。せめてメモリの中に各個人用フォルダをつくって振り分けられると便利だろうが、それも出来そうにない。結局、利用を希望する人数分のメディアを購入し、各人専用のメディアをもつことでデータを管理することにした。暗室で撮影し、メモリをスロットから取り出して、自分のデスクに運ぶ。原始的だが、もっともトラブルが少なそうだ。
カメラの付属品にメモリが含まれていない。ミノルタの多くのコンパクトデジカメは、SDカードを採用しているが、α-7dはコンパクトフラッシュがデフォルトである。互換性を意識して、SDカードのアダプタ(ミノルタ純正)を本体と同時に購入した。自宅で予備にしていた128MBのSDカードを使って、試し撮りをした。いろいろ考えたが、余計なアダプタを使わず、コンパクトフラッシュ(128MB)を各自に一枚と、共有のUSB2.0接続のマルチカードリーダーを買うことにした。私はカードリーダーは安いし、各自で用意すべきと思うが、そういう発想はなかなか受け入れられない。
メモリをどうするかに関して、MacFUN誌8月号の「PowerBook武装最前線」という、物々しいタイトルの記事が参考になる。これによると、流通している様々な規格のメモリの中で、もっとも安価なものはSDカード、次いでコンパクトフラッシュ。周辺機器メーカーのサイトを見ると、コンパクトフラッシュはマイクロドライブと互換性があり、そこそこの値段で6GBの容量が手に入る。プロ向け一眼レフがコンパクトフラッシュを採用する理由のひとつだろう。
カードリーダー・ライターについて、雑誌の特集記事で「PCカードアダプタ」を勧めている。私ももっている(何かのおまけに付いてきた)が、その利点は、本体に出っ張り無く収められることのみ。私の場合は、USB2.0インタフェイスカードがPCカードスロットを塞いでおり、現実的でない。また、コンパクトフラッシュ用はその他カード用と別に用意する必要があるらしい。また、PCカードスロットを利用できる人も限られるので、結局、外付けUSB2.0対応のマルチカードリーダーライターを選んだ。
私はクリップドライブでUSB2.0接続のありがたさが身に滲みている。前記、MacFAN誌の特集の後半部分は、コンパクトフラッシュ読み込み速度とインターフェイスの関係をまとめた貴重な資料。それによると、インターフェイスによる差は大きいが、メディア(高速タイプと普及タイプの比較)による差はさほど目立たない。記事には、他にも様々な比較が掲載されており、大変ためになる。私にとってタイムリーな記事だったが、もう二三日早く記事に気が付いていればもっと役に立ったはず。気になる人は、買って読んで下さい。
100ミリマクロは、接写でデータを残す用途には、焦点距離が長すぎる。50ミリがベター。自宅で使っているα-707Siに装着していた50ミリマクロと入れ替えることにした。なんだかんだで、コニカミノルタとソニーがデジタル一眼レフの分野で協力関係を築く云々。ソニーねぇ。ミノルタに得るものはあるのかしら?