MacBook Proを手に入れた。つい先日(6月5日)リリースされた最新のもの。システムプロファイラをみると、「機種識別子: MacBookPro3,1」とある。15インチの下位グレードのモデルで、Core2Duo2.2GHz、キーボードはUS、HDDは160GBとしてある。アップルストアの増設価格が高すぎるメモリはとりあえず標準の2GB。近々最大容量(4GB)に積み替える予定でいる。
薄っぺらい黒い箱の中に、凝った造りの発泡スチロールに挟まれて入っていた。付属品として、二回り大きくなったマグセーフACアダプタと、システムDVD、インストラクション(印刷物)、そしてアップルのシールが入った黒い紙箱。あと、外付けモニタ用のデジタル:アナログ変換アダプタ。それから、リモコン。ちょっと忙しく、進行中の仕事を中断するわけに行かなかったので、セットアップは先延ばし。新しいパソコンは最初に起動したときにいろいろと面倒が待っているのを知っている。環境の移行のタイミングは慎重、かつ大胆に一気にやる必要がある。
一日待って翌晩、環境移行を決行した。さぁ、一気に行こう。もたもたして、新旧パソコンを使い分ける羽目になると混乱の元だ。用意するものは、二台のPowerBookを並べるのに十分なスペース。二台分のコンセント。両端が6ピンオスのファイアワイヤーのケーブル、時間的な余裕と暇つぶしの道具。あぁ、そうだ。新しいパソコンの名前は「MacBook Pro」なのだ。長すぎる。何か適当な分かりやすい略称は無いものか。しばらくはPowerBookと表記することがあるだろう。新しいPowerBookっていうのが、MacBook Proのことだ。
新しい方を起動すると、初期設定に引き続いて現れる「環境移行ダイアログ」が便利である。古いパソコンで利用していたさまざまなものが、(一部例外を除いて)そのまま引き継がれる。パソコンを新調したことをほとんど意識せずに、作業を続けることが出来る。一部例外というが、何しろPowerPCからIntel CPUに乗り換えるのだから、多少うまくいかない点があるのは致し方ない。これを支える仕組みは、ユニバーサルバイナリとロゼッタということらしい。一方、気をつけなくてはならないのは、クラシック環境が起ち上がらなくなっていることだ。仕事でよく使うソフトウエアにひとつだけクラシック起動のものがある。
私は、幸いに、自宅ですでにIntel版のiMacを使っていて、互換性について十分な情報をもっていて、必要なソフトウエアや機器などの多くがおおむねそのまま使えることを知っている。
さて、まっさらのパソコンの起動ボタンを押す。
実は、トラブルなどでOSを入れ直した直後の状況と一緒だ。つまり、にぎやかな音楽が鳴り始め、Welcomeの動画が流れてからマイラインプラスがなんたら。そのあと、情報の転送ダイアログで転送する項目を選ぶ。多分、全項目をチェックしたと思う。古いパソコンとファイアワイヤーで繋ぎ、古い方をターゲットモードで再起動する。(Tキーを押しながら再起動)ホンでもって、転送が始まると、後何時間とか何分とか、プログレスバーの進行度合いとともに表示される。データの量と転送速度から計算していると思うが、あんまり当てにならない。経過時間と、転送済みデータ量、残りのデータ量を表示するのが良いんじゃないかと思う。時々眺めては、一喜一憂していた。データー、設定、アプリケーションなど合わせて70GB程度の容量の転送が、およそ2時間ほどで完了した。ここら辺は、ただ待つだけだ。
転送が終わり、再起動すると、相変わらず、シマンテックのアラートが持ち越されている。ケンジントントラックボールのユーティリティソフトウエア、マウスワークスは再インストールが必要であるが、設定はそのまま残っている。これには少々不都合があるが、後で触れる。Intel Macとなったことで、今まで使っていたATOKを使えなくなった。Intel Mac対応のATOK2006をもっているが、一ライセンス分のみで、既にiMacの方にインストールしてある。ことえりを使うのももなんだから、iMac用に購入して結局気に入らず、今は全く使っていないEG-BridgeUniversalを引っ張り出して使うことにした。インストールしてATOK風のキー配置とした。いくつかのキー操作が思い通りにならない。ちょっと慣れる必要があるし、辞書も鍛えなくてはならない。
シマンテックは一応アンチウイルスは動いているらしい。といっても、定義ファイルは古いままだ。そのうちに何とかしないとならないだろう。使い始めて、特に左手のひら周辺が熱いのが気になった。アクティビティモニタでCPU使用率をみると、CPU稼働の何割かが常時バックグラウンドの何かに費やされている。iMacのCoreDuoよりも余裕があるはずなので、これはちょっとおかしい。使用中のプロセス名をみると「ノートンプライバシーコントロール」が何かをやっているらしい。何をしているかわからないが、たいしたことではなさそうだ。やむを得ず、当該ソフトウエアをごみ箱に放り込んだところ、落ち着いた。
アップル製ノートパソコンのキーボードはなかなか打ちやすい。パームレストの上に手のひらを置いて、同じ高さのキートップを打つというポジションが良いのかもしれない。また、手の位置がモニタに近いのも打ちやすく感じる要因だろう。キータッチはしっかりした手応えで、キーが沈み込む感じが少ない。MacBookProのキーボードはかなり扱いやすいと感じる。但し、ちょっと汗ばむとパームレストに汗が溜まる感じ。アルミニウムの仕上げは汚れが目立ちそうだ。
実際には、画像のように19インチCRTモニタを左側に置いてデュアルモニタで使っている。OSのメニューバーをCRT側に表示させ、CRTをメインモニタにして、その前においてあるキーボード、画像では切れているが、そのさらに左にトラックボールを置いてインターフェイスにしている。MacBook Proの方はあくまでサブモニタとして資料を脇において参照するのに使う。
この配置はチタニウムG4がアルミニウムのインテルに置き換わっただけで、今までと同じである。ただし、コネクタ類が背面から左右側面振り分けに変わったため、机上の配置をいくらか変更する必要があった。
こういう使い方で、普段はCRTモニタとHHKB、そしてKensington TurboBallに向かっているわけで、新しいパソコンに直接触れる機会がほとんどない。新しいパソコンを使っている実感に乏しい。確かに、今までより機敏に動くように思うが、さほどドラマチックな変化ではない。メモリは増えたし、CPUにも余裕があるから、作業の効率は良くなったと思うが、こういうのは慣れの部分が大きい。
使っていて気になるのがモニタだ。今までとサイズは同じだがチタニウムG4より液晶のピッチが細かく表示範囲が広いから、あらゆるものが小さく見える。少し奥まった場所に置いているので、モニタ上の普通のサイズ文字が読みとり難い。おそらく、MacBookをメインモニタにして手前側に持ってくるべきなのだろう。しかし、熱いパームレストに手を乗せて作業するのは嫌だ。また、MacBook Proはヒンジの構造上、モニタの開度が小さい。チタニウムの方は、ほぼ180度開くが、こいつはせいぜい120度位で、セットアップの幅が狭い。モニタのバックライトにLEDを採用したのが売りだが、見やすいとは思えない。モニタの視野角が狭く、少し斜めから見るとモニタの表示が妙に黄色っぽく見える。 これはMacBook Proの大きな弱点(というか、もしかすると欠陥?)と思う。