G4-400 PCIアップグレードの実際:その2 (2004-12-19)

せっかちな男

私は、他の人から暢気な性格と思われることが多いらしいのだが、自分ではせっかちな性格という分析をしている。要するに、気はせくのだが、中々実行に移せないという、困った性格ということなのだろうと思う。

先日来、検討していた、自宅のPowerMacG4-400(PCI)のCPUアップグレードに踏み切ったので、それについてレポートする。5-6年ほど前、期待に胸をふくらませ、blue & whiteのG3やら、登場して間もないgraphiteカラーのG4の一番下のグレード、いわゆるヨセミテマザーボードのパワーマッキントッシュを買って、今になって悶々としている人々に、有意義な情報提供となるのではないかと思う。

ヨセミテボードの憂鬱

ヨセミテマザーボードは、SCSIやADB(apple desktop bus)、そして、シリアルインターフェイスなど、いわゆるレガシーインターフェイスが廃止される転換期の仕様で、B&W G3はADBが使える最後のマックだったはずである。PCIグラフィックのG4は、PowerMacG4が華々しく登場したとき、もっとも下のグレードとして用意され、今にして思うと、唯一B&W G3と同じヨセミテボードを使ったG4ということになる。この時の上位機種、および、この後登場したG4は画像処理にAGP (Accelerated Graphics Port)と呼ばれるビデオ回路専用のバスを使っている。そのため、PCIグラフィックのG4と、これ以降の登場したG4では、CPUアップグレードの選択の幅が大きく異なる。ヨセミテボードでは、ZIF (Zero Insertion Force)と呼ばれるCPUソケットを採用しており、CPU交換は 素人にもかなり簡単にできるようになっている、にもかかわらず、利用可能なCPUカードが限られていた。少々前に、Sonnet Technologies社から、ZIFソケット用アップグレードカード、Crescendo ZIF 1GHzが登場し、しばらく時間は掛かったものの、ヨセミテボードへの対応がアナウンスされたため、今回のアップグレードが実現した。

キットカットオンラインストア

信頼できる店から、出来るだけ安く買いたいと思う。残念ながら、極めてマニアックな商品につき、取扱店はごく限られる。当初7万円ほどの値段が付いていたが、5万円を切る程度まで値が下がった。調べてみると、Sonnet社のオンライン販売がおよそ5万円。ただし、これは消費税別で送料1800円を含まない。いくつか調べると、さほど大差はないが、キットカットオンラインストアが、在庫がありかつ送料無料で、支払総額が最も少ない。在庫僅少ということで、直ちに申し込んだ。支払いは銀行振り込み。ちなみに、ビデオカード(ATI RADEON 7200)も一緒に購入した。時期OSへの対応を目指す以上、ビデオ回路の強化も必須であろう、という、あまり根拠のない判断から。何にせよ、マニアックな商品で、手にはいるときに何とかしないと、後の祭り、というのは、先日のAirMacカードで身にしみている。(秋葉館で、「どうしても手に入れたい人」のために、輸入版のAirPortカードが17800円という驚きの特別価格で売りに出ている)

申し込み直後に、在庫切れとなって、心配していたのだが、3日ほどで届いた。早速インストールと相成った。

酔っぱらい

私は、電子工学を学んだり、電子工作を誰かに習ったような経験がない。今まで、いくつかの困難を、勘と経験と幸運で乗り切ってきた。そのたびに少しずつ、自らの経験を積み上げた。実は、CPUアップグレードの経験がある。すっかり忘れていたが、随分昔に、PM7600/166にXLR8 MACh Speed G3 processorと云うやつをインストールしたことがあった。当時、出始めたpdfファイルを開いて、あまりの表示の遅さにアップグレードを決意した。埼玉県に住んでいたので、秋葉館まで出向いて手に入れた。PM7600は箱を開ける時に、少々コツが居るのだが、中身には触りやすかった。プロセッサもドーターカード形式。インストールにも特別なソフトウエアなどは要らなかったような気がする。

アップグレードカードが届いた日、友人の送別会で梅田に出た。幾らか酒を飲み、私は全然飲めないというわけではないが、アルコールには弱い方である。ほろ酔い気分で電車に乗り、帰宅。始めることになった。

一般的な注意として、まず、場所と時間と雰囲気の確保が重要である。雰囲気、というのは、邪魔が入らない状況や、とりあえずパソコンがうまく動かなくてもあきらめがつく環境のことである。大切なメールが届くのを待っているときとか、やりかけの仕事があり、パソコンが立ち上がらなくなるとっても困るとき、などは、やらない方が良いだろう。

次に、ちょっとした道具をそろえる。PowerMacでこういった作業をするときに必要な物は、ドライバーセット程度であるが、ネジなどをなくさないよう、皿を用意しておくと良いだろう。

そして、荷物を開梱し、中身を確認する。マニュアルと付属のソフトウエアを確認する。場合によっては、ウエブページを調べ、最新版のソフトウエアを用意する。私の場合は、パワーブック使えるのだが、多くの場合、作業に失敗するとウエブにも接続できなくなり、情報収集に支障を来すことになる。あらかじめ色々と調べておくと良い。ただし、何を調べるか、は、やってみないと判らないケースが多い。

PowerMacG4を何度か開いて、HDDやメモリの増設やら、USB2.0ボードのインストールやら、定期的な埃掃除などをやっているが、CPUをいじるのは、今回が初めてである。少々緊張しつつ作業に掛かったつもりだが、やはり酔っぱらっていたのだと思う。マニュアルが、結構複雑(とその時は感じた)で、あまり精読はしていなかった。「お使いの機種がXXの方は、この項を読み飛ばして、云々」が随所にあり、斜め読み、拾い読みになっていた。まず、肝心なこと(1ページ目)を理解していなかった。

CPU交換に関する注意事項

ZIFソケットは、中々良くできており、ある程度の慎重さがあれば、多少よっぱらっいても壊すことはないと思うが、注意点をいくつか。

とりあえず、あっさりと新CPUがボード上に収まった。ついでに、ATI RADEON 9200も装着した。紫色のヒートシンクに冷却用のファンが二つ。とりあえず、ケースを開いたまま、電源を繋ぎ、起動ボタンを押してみる。ボード上のLEDが光り、ファンが威勢良く回り出した。しかし、、、、起動音が鳴らない。ならないのかな、と思っていたら、モニタも真っ暗なままだ。なんだか上手くいかなかったらしい。とりあえず、インストールマニュアルを読み返すことにした。