コピペレポート(2006-10-10)

レポートの提出期限はいつまで、というような話に、しばしば「パソコンは使って良いですか?」という質問が付いてくる。「ダメです。手書きしてください」でも良いし、「あ、別にどうでも良いですよ」も良い。さて。

パソコンを使って良いか悪いか。

私はレポートにパソコンを利用することは構わないと思う。パソコンによってレポート作成が大幅に省力化されるなら、学生の学習の能率は上がる。レポートの質が高まる。印刷イメージは手書きよりも遥かに読みやすい筈で、評価する側も楽になる。また字の上手下手による先入観が除外されるから、公平な評価もし易い。

逆に、パソコンを使うデメリットとして、字を忘れること。そして、手書きをするトレーニングを受ける機会を失うことが上げられると思う。手書きという道具を使いこなすトレーニングもまた必要なのだ。また、パソコンを利用する際に、使うソフトの枠に嵌められる危惧を持つ。手書きすればなんと言うこともないのに、パソコン(実際はそのソフト)で出来ることだけやって、出来ないことはやらないというようなことになったら、本末転倒だ。パソコン利用のスキルがレポート内容に影響するのは学習内容を評価する趣旨から問題がある。

レポートは中身が重要だ。作者の思考過程が読み取れることが必要だ。書く側としては、読み手に理解させることを意識して書くべきだ。それに関して、パソコン利用は何ら関係がないはずだ。

パソコンは省力化のために使う。学生が省力化を間違った方向に用いることを危惧するから、教官はキンシしようとするらしい。さまざまな理由でレポートの締め切り期限に間に合わなくなり、とりあえずレポートをでっち上げる道具としてパソコンを利用可能だ。要するに、誰かにファイルをコピーさせて貰って適当に編集すると、内容は分かっていないにせよ、とにかくそれらしいレポートを作ることが出来る。他人のレポートを理解せずに丸写しすることは無意味であるが、かつてより学生達が利用していたテクニックであり、何もパソコンの弊害とは言えない。手書きで書き写すならOKと云うわけではないだろう。「コピペ禁止」はただのお題目で、現実には実行不可能だ。

教官はレポートを読んで評価を下す。オリジナリティはレポート評価の大きなポイントであるから、コピペは著しく評価を下げると警告すればよい。パソコン利用が時代の流れであるなら、レポートのスタイルも「紙に印刷して綴じて提出」に代わり、オンラインでファイルを提出させることになるだろう。適正な評価がし易いように、レポートの投稿規定も書式などを細かく指定し、さらに、出そろったレポートファイル相互の類似点を評価し、オンライン上のリソースとの類似も見つけ出すような「オリジナリティ評価ソフトウエア」が近い将来開発されるに違いない。

昔は無かったもの(パソコンにインターネット、検索エンジン)が今はあって、手軽に利用可能なのだ。教官側もそれに対応するように努力するべきだろう。