万能エクセル(2006-06-04)

書類を作っている。テンプレートを埋めていく作業。テンプレートはもちろん、エクセルファイルである。どうもエクセルで書式を作るのが流行っている。実に憂慮すべき事態である。日経PC21という雑誌がどれほどの影響力を持つ雑誌なのか存じ上げていないのだが、大好評発売中の7月号の特集は「万能エクセルでワープロ要らず」と来たもんだ。

この度のテンプレートも、見かけ重視のエクセルファイル。必然性を感じない表組みである。某お役所に提出する書類の一部らしい。事務方に問い合わせる。全く同じ表組みをワードで作っては拙いですか?実は、すでにワードで作った元ファイルが手許にある。そのワードファイルも壮絶な表組みなのだが、エクセルよりはかなり柔軟だし、そのセルを一コマずつエクセルに貼り付けていくことを考えると、ワードのまま体裁を整える方がはるかに楽である。というか、エクセル何ぞに移してしまうと(移す作業そのものは、大変だが単純作業だ)、その後何をするにも大変な単純作業を強いられる。テンプレートはほとんど無意味にセルを結合している。結合されたセルが表に含まれると、エクセルの柔軟性は極端に低下する。自動的に行の高さを調節してくれなくなる。このことの意味することは、極めて深刻である。私がすべてのセルを埋めて、表を完成させたつもりで居ても、ちょっと余白を調節するつもりで列幅をいじると、当然テキストがセルからはみ出る。結合セルに入ったテキストの場合、行の高さの自動的な調節が効かないから、ワークシートの上から下まで、テキストがはみ出ていないかどうか全部チェックして、いちいちドラグしてテキストが収まるように行の高さを調節しなくてはならない。そうしたところで、やっぱりもう少し幅を変えようとなったら、また調節のし直し。もし、意図的にこういったテンプレートをつくっているなら、拷問や嫌がらせの一種だ。そういう不都合を知らずにテンプレートを作ったとしたら、この行為が著しく国益に反することを直ちに彼らに理解させなくてはならない。

実は、「日経PC21」7月号を手に入れた。ウインドウズユーザー向けの雑誌を買うことは滅多に無い。多分初めてと思う。あの手この手の裏技を駆使して作り上げたエクセル書類を嘆くばかりでは仕方がない。何とか対処するために、何か良い方法が見つかるかもしれない。と思ったが、結局余り熱心に見ていない。エクセルの利点として、印刷する上の設定が楽だというようなことが書いてある。自分の環境で、たとえばA4やB4用紙一枚のプリントにきちんと収めることが重要な場合は、エクセルだろうが何だろうが構わない。楽なアプリケーションを使えばよい。印刷イメージを手に入れたときに、いちいちどのソフトで作ったのか、そういうことは気にかけない。ただし、テンプレートとして他人に書式を配るときには、各人の環境に因る違いや、記載内容のバリエーションを考慮する必要がある。事務的な資料の多くは、折角作った書類を有効に活用するという視点が重要になるはずだが、日経PC21の特集には互換性やら将来の発展性に注意するような話は、なかったような気がする。結局、シートを方眼紙状にしてセル結合で入力欄を作成ということらしい。これは「日報」というものをつくるときの基本らしいのだが、日報ならそれでよいかも知れないが、このテクニックがあらゆる文書に応用される。この特集の中に、作成した資料の価値を高めるために、「やってはいけない」テクニックの話題はひとことも出ていない。

日本国政府は事務書類の互換性に関するガイドラインを早急に設定するべきだ。糞テンプレートを事務書類から追放すること。このまま裏技を駆使したエクセル書類がのさばると、近い将来の安全保障上の問題にもなりかねない。とにかく、ワープロ代わりに使うエクセルは極めて拙い。