連絡手段としてのメール(2005-07-17)

妻がメールを使っている。かつては親戚や友人が相手だったのだが、この頃は幼稚園、小学校関係の父兄が相手である。何度か話題にしていると思うが、我が家は携帯電話を所有していない。従って、我が家のメールはすべて、パソコンを利用しており、相手のほとんどは携帯電話のメールである。

恐らく商売上の理由から、携帯電話に次々と新規の多様なサービスが付加さていく。もはや、ケータイに出来ぬことはないと錯覚させる勢い。勿論、携帯で全てが解決するわけがないが、錯覚の末、ケータイで出来ぬことは、端から諦めるグループが出現しても私は驚かない。

妻が、幼稚園の父兄の間にメールによる連絡網を立ち上げた。私は、妻に、メールソフトの活用方法について幾らかアドバイスし、実際の操作を手伝った。まず、メンバー全員のメールアドレスを集めることが難しい。連絡網に参加する人々に、了解を取らなくてはならないが、幸い、音頭を取った人が、メールアドレス入りの名簿を既に用意しいた。そこから、アドレスの一覧を我が家のメールソフトのアドレス帳に移す作業。既に何度かメールのやりとりをして、アドレス帳に登録済みの人もいたが、「ちょっと違うと繋がらない」ということを、妻も自覚しており、彼女なりに慎重に入力した。出来上がったアドレス帳から、幼稚園関係を抽出し、「グループ」として登録した。改めて見直すと、我が家以外の全員が携帯メールのアドレスである。

次に、連絡事項をメール本文に書き起こした。妻があらかじめ用意していた文面を読んだが、どうも理解しがたい。個々の情報は分かるが、それらの繋がりが分かりにくい。私は幼稚園の事情を把握していないが、把握している父兄でも理解できそうもないと思い、一文ずつ妻に確認しながら全体を書き直した。改行など、文書のフォーマットが、携帯電話のディスプレィ上にどのように表示されるか、私と妻にはよく分からないので、文章は可能な限り簡潔にまとめた。彼女自身、要領よく説明するのが苦手という自覚があり、それ故に、私に推敲を依頼した。妻は、書き直されることに不満そうであったが、出来上がった文が簡潔にまとまったのを見て、納得してくれた。

グループをメールの送信先に指定する際に、グループに自分のアドレスを加えておくことを忘れてはいけない。グループを作る時に、「グループに送信する時はメンバーのアドレスを表示しない」というチェックボックスで、CCか、BCCを選択できる。今回はチェックしてBCCとしたが、今にして思えば、むしろCCとして、情報を共有するメンバーを明示するべきだったと思う。少なくとも、グループのメンバーは、全員同じ名簿をもっているのだから。最後に追加したアドレスに入力ミスがあり、@docomo.ne.jpを、@docomo,ne.jp、つまり、ピリオドが一カ所だけコンマに置き換わっていたために、「アドレスの書式に不正がある」、というアラートが出て、メールソフトにエラーが発生し、全く送信できない状況になった。当初、理由が分からず、右往左往させられた。

今回、メールの連絡網を実際に作り、運用してみて、いくつかの問題点に気がついた。まず感じたのが、名簿作りの困難さ。既に何度かやりとりしていたり、直ぐに返信をくれた人は良いが、果たして無事に届いたのかどうか、送信した側に確かめるすべがない。一番気になるのは手元にあるアドレスの一覧が正しいかどうか。

次に、メールという手段の確実性。情報を受ける側は待つしかない。身の危険に関わるような情報の場合、例えば、津波による避難に関する情報をメールで受ける側は、メールが届かない場合、情報があるのかどうかさえ判断のしようがない。メールで送った文面をウエブページにアーカイブしておけば、受け手の責任で、情報にアクセス出来るだろう。

もう一点、携帯メールとパソコンメールの間に存在する溝は意外と大きい。携帯メールは、飯を食いながら、テレビを見ながら、出先でも、色々な状況で利用できそうだが、パソコンの場合、本体を起動し、パソコンに向き合う必要がある。携帯メールは、情報の方から追いかけてくるが、パソコンはいちいち迎えに行かなくてはならない。表示文字数の制限やら、携帯の液晶画面のスペースの問題などは、非携帯ユーザーの私には想像がつかない。また、携帯アドレスは、比較的簡単に(頻繁にというか)変更されることが多いらしい。迷惑メールが増えて来た時、携帯ユーザーの選択肢は、アドレスを変えるか、特定のアドレスから着信を拒否することらしい。携帯メールユーザーの中には、パソコンから送信されたメールを一律に拒否している人がいるようだ。

 何にせよ、連絡網にメールを利用するには、利用者達がそれなりに歩み寄る必要があると感じた。そのアドレスに本当に伝わるのかどうか?そして、何かの都合で伝わらない可能性があることを周知し、連絡をバックアップする仕組みを用意する必要があるだろう。

最後になったが、メールソフトは、こういった目的のために全くの素人が手探りでやり遂げられるような生やさしいものではない。現に、メールソフトの誤操作が原因で、顧客の個人情報を流出させる事例は、数多く報道されている。結構手強いというのが実感である。